※全12話。かなり長いです。でも本当に面白かったです。
※見直してみると、簡単な要約だけではストーリーがよく分かりませんね。ネタバラシになる部分も含めて、もう少し詳しく説明加えたいと思います。
※何せ、画面を一時停止しながら、辞書片手に英語の字幕を読んでますので時間がかかります。www
目次
TAIWAN+のドラマ斯卡羅Seqalu:Formosa 1867 全12話公開中
先にご紹介したTAIWAN+で、台湾の歴史ドラマというか実話に基づいて描かれた「斯卡羅Seqalu:Formosa1867」。当初は全話を無料公開する予定ではなかったようですが、Youtubeで全12話が無料で見られるようになっています。(斯卡羅の発音はスカロゥと聞こえます)
6話までは見ていたので、7話以降12話まで立て続けに見てしまいました。
いやぁ、面白かったです。日本語の字幕がないので内容がイマイチわからないところもありますが、英語の字幕を分かるところだけ見ても楽しめました。ネタバラしにならない程度に要点だけ書いておきたいと思います。
ただ、字幕見ながら感じたことがメインですので、理解できてないことも多いと思います。その辺はご容赦ください。
主な登場人物
タイトルの「斯卡羅Seqalu:Formosa1867」の、斯卡羅Seqalu(スカロゥ)とは当時原住民が支配していた台湾南部の地域名。1867は、この年に起きた斯卡羅の原住民が、難破したアメリカ商船のローバー号の船員たちを侵略してきたと勘違いして、殺害した事件を表しています。
日本語の説明がなく、誰が誰か分かりにくいので、主な登場人物をまとめてみました。
役名と読み方を書いてみましたが、台湾語、客家語は発音が聞き取れないところも多いので、普通語の発音です。また、名前があるのに名前を呼んでない(例えば「叔父さん、叔父貴」のように)場合もあります。
※画像は公式のFacebookからです。
ストーリーの中心人物
蝶妹(Tiap-moe ティアメイ/ティアモイ) 英語では「Butterfly」と呼ばれている。原住民の母が、客家人の父と駆け落ちしたため部族からは仲間と認められない。自分は客家人だと言うが、台湾人や客家人からは原住民だと差別される。パイワン語、客家語、台湾語、英語を話すのでアメリカ領事の召使、通訳として、原住民の住む山へ嫌々案内させられる。
族長の一族なので、後半、「貴族Royalty」と字幕がついている。
出演:溫貞菱(ウェンジェンリン)
Charles Le Gendoure(ル・ジャンドル 李仙得(リィシエンドゥ))アメリカの市民権を持つフランス人で福建省厦門(アモイ)のアメリカ領事。厦門から台南府にアメリカ人船員の捜索を要請に来た。やたらに、「秩序と文明を教えてやる」という上から目線で台湾人、原住民に接する。召使に背広を着せて、ナイフとフォークで食べ物を食べさせて「これが文明だ」みたいなことを言っている。(笑) 出演:法比歐(ファビオウ)
William A. Pickering(ピッカリング)イギリス人貿易商。
もと蝶妹の雇主。台湾に愛着がある。ルジャンドルには反感を抱くが、中国語、台湾語の通訳として捜索に同行する。ただ、召使いの蝶妹に「薬局に仕事を紹介してやったんだから紹介料よこせ」みたいなこと言って、酒代をもらったりしている。(セコぃ) 出演:周厚安(チョウホウアン)
原住民の族長
原住民(パイワン族)は18の部族の集合体で、各部族長の中で現在は卓杞篤(トキトウ)が族長。彼らが治めているのが台湾の南部の斯卡羅Seqalu(スカロゥ)、現在の恒春あたりです。
卓杞篤(Tok Kitok トキトウ)
豬朥束(ジュラオシュ?)社(族)の族長。また原住民18部族全体の斯卡羅の族長でもある。蝶妹の亡くなった母、瑪祖卡(マツカ)は妹。
勇者として戦も辞さないが、アメリカ領事との間で最後には条約を結び、友人となる。
出演:查馬克・法拉屋樂(チャマク・ファラウラ)
この人は原住民で、俳優ではなく小学校で伝統歌謡を教えている教員だとか。残念なことに2021年8月19日42歳の若さで亡くなりました。
追悼音楽会の様子です。
伊沙(Isa イサ)
射麻里社(族)の族長、斯卡羅では卓杞篤に次ぐ地位にある。卓杞篤が台湾人に貸した自分の領地「統領埔(TongLingPu)」を漢人から取り返そうと思っている。婚約していた卓杞篤の妹、瑪祖卡(マツカ)は漢人と駆け落ちした。卓杞篤とは意見が合わないこともあるが最後には部族のために立ち上がる。
出演:雷斌·金碌兒(レイビン・ジンルゥァ)
この人も、実際の原住民で陶芸家です。
※ 原住民という言い方は、元から住んでいた住民という意味で彼ら自身が選んだもので、差別的な意味合いはありません。ただ、劇中では、西洋人や閩南人、客家人も裏では結構ひどい言い方でパイワン族のことを呼んでいるそうです。
※中国語の字幕で、原住民のことは、生番(セイバン)と表現されていますが、社寮の平埔族は熟番(じゅくばん)と表示しているときがあります。生番は山に住んで清に服従していない原住民。熟番は平地に住んで、漢人化している原住民のことです。
原住民支配の山の麓に住む平埔族、閩南人、客家人のグループ
原住民からは、台湾人、客家人はひっくるめて「Han Chinese」「漢人」、西洋人は「Blue Eyes」「藍眼晴」と字幕に表記されています。
水仔(Shui-A シュイア)
台湾人と原住民のハーフで平埔族(平地の原住民が漢人化したグループ)のリーダー。原住民と漢人の両方から「土生仔=混血」と蔑まれている。原住民のために交易をして、原住民の領地「社寮(Sia Liao)」を借りている。3グループで1番弱小。漢人のグループ内では不利なので、原住民側につくことで、柴城や保力に対抗しようとする。原住民と客家人、台湾人の通訳もする。自分達の借地をより良い「統領埔(Tong Ling Pu)」にしてもらおうと思っている。後半は清国軍と原住民の板挟みになることも。
出演:吳慷仁(ウーカンレン)
朱一丙(Zhu Yi-bing ジュ イィピン)
福建省から渡ってきた閩南人(台湾人)の村「柴城(ChaiCheng)」の長。3グループで最大。原住民からも、清国からも独立してして支配を受けたくないと思っている。進軍してきた清国軍に駐屯地を提供して原住民からの攻撃を牽制しようとする。出演:雷洪(レイホン)
林阿九(Lin a-jiu リン アチョウ) 劇中ではアガァと呼ばれています。原住民の領地「保力(Bao Li)」の土地を借りている客家人グループの長。
客家人は大陸で定住地を持たず、台湾に流れてきた。客家とはよそ者の意。朱一丙とは争いながらも、一緒に組んでよりよい場所「統領埔(Tong Ling Pu)」を原住民から借りたいと思っている。しかし柴城の朱一丙に、川の水を上流で止められて困っている。出演:夏靖庭(シアジンティン)
※ 言語について、朱一丙は閩南語(≒台湾語)のみを喋っています。林阿九は、主に客家語を。閩南語も。第1話では伊沙(イサ)とはパイワン語を話していた。水阿は、閩南語、客家語、パイワン語を話している。
朱一丙の閩南語と比較して聴き比べると、客家語との違いがわかると思います。
清国軍の劉明燈将軍は、北京官話だと思います。
周りを取り囲む出演者たち
阿杰(A Jie ) 蝶妹の弟。劇中では「アカァ」と呼ばれているように聞こえる。父親の林老実と、賞金をもらうために船員を台南府に連れて行く途中で父親は何者かに殺される。幼少時に別れた蝶妹と再会するが、街の生活に馴染めずに最後は山に戻る。卓杞篤(トキトウ)の娘の烏米娜(ウミ)に好意を寄せられて、斯卡羅の戦士になるべく訓練をさせられる。
出演:黃遠(フアンユエン)
劉明燈将軍(Liu ming–deng リュウ ミンドン)
台湾府清国軍の将軍。アメリカ領事と一緒に船員の捜索に行くことになる。領事のルジャンドンは原住民に秩序や文明を教えると言うが、劉将軍はそんなことはできないと思っている。本心では原住民の征伐をしたいと思っている。
出演:黃健瑋(フアンジエンウェイ)
道台(Dao Dai ダオダイ) 清国台南府の知事。道台は多分職名。賄賂に目がないと言ったいかにもと言う感じの役人。原住民との争いなどには関わりたくないが、船員救助の賞金の6割をくすねようと画策したりする。
アメリカ領事に「北京の朝廷に報告する‥」と言われて態度急変、劉将軍に捜索隊を出すように命令を出す。領事にもアドバイザーとして同行を許す。
出演:王振全(ワンジェンチュエン) この人は中国漫才(相声)の漫才師で、Youtubeで見ると日本の漫才の阪神巨人の巨人のようなスタイルと思いました。
人物相関図
部族、漢人の集落の位置関係
3つの集落、原住民、の位置関係が分かれば理解しやすくなると思います。
下の地図と合わせて見ていただくと、社寮、柴城、保力の3つの集落は5~6Kmの間で角突き合わせて生活していたことがわかります。
山は原住民の領地なので社寮、保力は平地の狭いところを原住民から借りて暮らしています。
3集落共、水の比較的豊富な統領埔を原住民から借りたいと思っています。
現在は保力が借りていますが、その借用期間がまもなく切れます。
同じ物ですが、GoogleMapで、正確な距離感がよく分かると思います。
ローバー号の遭難、台南府での交渉、捜索隊 第1話〜第3話
第1話 The Sea Wind(海風)
話はここから始まります。嵐で難破したアメリカの商船の乗組員が、救命ボートで上陸した地点が原住民の支配地域でした。台湾の最南部、恆春の地域です。
原住民(パイワン族)の巴耶林(パヤリン)たちは、アメリカ人が侵略してきたと勘違いして彼らを殺害してしまいます。それは、昔、二百年前にやってきたオランダ人たちが、原住民の村を襲い村人を殺害。その時生き残ったのはわずかに5人だったということがあったためです。
それ以来、白人(The Blue Eyed)に対しては復讐するという気持ちがベースにあります。
社寮は3集落で唯一港があり、物資や食料はここに水揚げされます。それらの物資を原住民と交易することを条件に、原住民から社寮のリーダー水阿(シュイア)は土地を借りています。
統領埔では、保力と柴城が水源を争っていさかいを起こしています。その場所に社寮の水阿から知らせを受けた原住民の伊紗(イサ)が現れ、争いを止めます。
洋人を殺して復讐したと得意げな巴耶林のところに卓杞篤と風祭師が来て「ここには先祖の霊がいない。女を殺したから悪いことが起きる」卓杞篤は巴耶林に女の首を元のところに戻してこいと怒ります。
3集落のリーダーが話あっているところに伊紗(イサ)が現われ、新しい部族長の朱雷に変わったら、統領埔は今後は貸さないと言い、統領埔に建物が残っていれば、また人が戻ってくるから全部燃やしてしまえと命令します。伊沙は水阿に「漢人は雑草だ。そろそろ抜かねば・・・」と。
火をつけられた統領埔では林老実が「最初は客家人に家を焼かれ、今度は閩南人に家を焼かれた。台南府に蝶妹を探しに行こう」そう言っているところに生き残った船員が助けを求めてやって来ます。
林老実(蝶妹と阿杰の父)は、賞金をもらうために生き残った船員を阿杰と台南府に連れて行こうとするが、その途中で牛泥棒に撃たれて殺されます。
第2話 The Blue-Eyes (青い眼=白人)
福建省厦門の米国領事館に米海軍のベル提督がルジャンドル領事を訪ねて来ます。いろいろな頼みごとや、ローバー号の難破のことと船員の家族からの救助要請のこと等を伝えます。
その間のベル提督のルジャンドル領事に対する嫌味のすごいこと。「南北戦争で戦ったらしいけど4年の内半分は病院のベッドの上だったらしいな?どうやってベッドから指揮したんだ?しかも准将に出世したんだって?まぁ、アメリカ人はフランス人には寛大だからな。(頼み事を断られると)どうせフランス人は・・・」こんな感じの悪態の連続です。
場面が変わって、蝶妹とピッカリングが弟の阿杰を探しに山道に入って行くと、原住民に捕まった弟と難破した船員を発見。蝶妹は弟だけ返してもらえばいいのですが、ピッカリングは船員救助の賞金がもらえるので「ノー、二人だ。二人。」と。そして蝶妹に対して「なんて自分勝手なんだ」みたいなことを言いますwww。
船の難破を知ったアメリカ人領事のチャールス・ル・ジャンドル(李仙得 領事)は、厦門から台南府にやって来て、友人のピッカリングを探します。船着き場でピッカリングを知っている女性が蝶妹でした。
領事のルジャンドルは清国の知事に船員の捜索と救助を要請します。ところが驚いたことに、 清国の知事は「事件が起きた場所は、清国の支配が及ばない地域だ。」と言うのです。
つまり、事件が起きた場所は清国ではないから捜索隊は出せないということです。その後、英国領事がルジャンドルに、知事の上司である福建・浙江総督に手回しして圧力をかけてもらうと良いとアドバイスをもらいます。それで、知事は態度を変え、表向きは捜索隊を出すことに同意します。
※この「清国の支配の及ばない地域」という点は「台湾は不可分の領土」と言ってる人にとっては大問題ですね。つまり、清国から引き継いだ領土には、台湾は含まれていないと言うことになるからです。
※それと、このアメリカ人領事はやたらと「台湾人に文明を教えてやる。野蛮人に秩序と文明(order & civilization)を教えてやる」と言うのが鼻につきます。
第3話 The Servant(召使い)
この第三話はすごく分かりにくかったです。話の脈絡がよく分かりませんでした。何回か見てなんとなく分かりました。ちょっとネタバレになります。
清国の知事は本当は捜索隊を送る気はありません。それで、アメリカ人領事に対して生存していた船員が救助され、事件に関わった原住民は処罰されたという偽の情報を流し、領事を厦門に帰そうとします。
知事は、役人を漢人の村に行かせ、船員殺しの犯人の首を用意して差し出すよう命令をします。3集落の長、朱、林、水は協議して誰かの墓を暴いて首(牛泥棒?)を2つ用意して役人に差し出します。
役人はその首を持って、領事のルジャンドルの元を訪れ「原住民と談判して犯人の首を取って来た」と報告。ピッカリングはその首を見て「信じるな。こいつは墓荒らしだ。原住民なら頭は剃らない」と叫びます。
役人は「知事は船員の家族たちに賞金の2割を、協力に感謝して領事のルジャンドルにも2割を差し上げようと言っている」と言います。「残りの6割は?」と領事。一瞬黙り込む役人。
ルジャンドル領事は役人に「ところで族長のInaイナには会ったのか?」とカマをかけると、役人は「もちろん族長のInaイナに会って交渉してきた。」 領事「Inaイナとはパイワン語で母親と言う意味だ・・・」
公使は嘘を見抜き、役人と知事に会いに行きます。劉将軍はこの嘘を許さず役人の首を刎ねます。この役人も上司の命令通りにしただけなのに可哀想なものです。
アメリカ人領事は捜索隊を出すように再度プレッシャーを掛けます。すったもんだの結果、領事のルジャンドルは劉将軍のアドバイザーとして同行を許されます。
ルジャンドル領事は、客家人の父と原住民の母を持つ召使いの蝶妹(tiap-moe)に案内させて原住民の村へ自分達だけで行こうとします。
・必見!台湾の歴史ドラマ「斯卡羅Seqalu: Formosa 1867 」(2)第4話~第9話
・必見!台湾の歴史ドラマ「斯卡羅Seqalu: Formosa 1867 」(3)第10話~第12話
(2021/10/22)(2021/10/26)